11.16[土]渋谷シアター・イメージフォーラムにて想像と欲望のロードショー11.16[土]渋谷シアター・イメージフォーラムにて想像と欲望のロードショー
Punkte
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INTRODUCTION

米国インディペンデント映画の先駆者の一人、ベット・ゴードン。1970年代末から80年代にニューヨークのアンダーグラウンドで起こった音楽やアートのムーブメント「ノー・ウェイヴ」周辺で活動した映画作家であり、「セクシュアリティ」「欲望」「権力」をテーマにした大胆な探求と創作を行っている。長編第一作『ヴァラエティ』に併せて、中編『エンプティ・スーツケース』と短編『エニバディズ・ウーマン』を一挙劇場公開!

TRAILER

FILMS

ヴァラエティ VARIETY
©1983 Variety Motion Pictures. All Rights Reserved.
©Kino Lorber,Inc. All Rights Reserved.

ヴァラエティ

VARIETY
原題:VARIETY/1983年/米国/カラー/100分/ヨーロピアン・ビスタ/
日本語字幕:西山敦子(C.I.P.Books)
ベット・ゴードン監修による
オリジナルネガをもとにした2K修復版
監督・原案:ベット・ゴードン/脚本:キャシー・アッカー/製作:ルネ・シャフランスキー/撮影:トム・ディチロ、ジョン・フォスター/編集:イラ・フォン・ハスペルク/音楽:ジョン・ルーリー/出演:サンディ・マクロード、ウィル・パットン、リチャード・デヴィッドソン、ルイス・ガスマン、ナン・ゴールディン、クッキー・ミューラー
タイムズ・スクエア近くのポルノ映画館「Variety」。チケットを売るクリスティーン(サンディ・マクロード)は、ある日一人の男性客と言葉を交わす。以来、彼女はその男を追いかけるようになる……。アルフレッド・ヒッチコック『めまい』(1958)に想を得た物語。脚本は実験的な小説家のキャシー・アッカー(『血みどろ贓物ハイスクール』)が担当。撮影をジム・ジャームッシュ監督『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)などで知られるトム・ディチロ。写真家のナン・ゴールディン、ルイス・ガスマン(『ブギーナイツ』1997)、ジョン・ウォーターズ作品常連のクッキー・ミューラーらが出演。そして、音楽を当時「ラウンジ・リザーズ」で活動していたジョン・ルーリーが担当している。ニューヨークのアンダーグラウンドなアートシーンから生まれた、ゴードンの代表作。
国内劇場
初公開
エンプティ・スーツケース Empty Suitcases

エンプティ・
スーツケース

Empty Suitcases
原題:Empty Suitcases/1980年/米国/カラー/52分/スタンダード/
日本語字幕:西山敦子(C.I.P.Books)
監督:ベット・ゴードン/撮影補:デヴィッド・ワーナー/録音補:ヘレン・カプラン/脚本補:カリン・ケイ/出演:ローズマリー・ホックシールド、ロン・ヴォーター、ヴィヴィアン・ディック、ナン・ゴールディン、ヤニカ・ヨーダー、ジェイミー・マクブレイディ、ベット・ゴードン/声:リン・ティルマン、カリン・ケイ、アネット・ブレインデル、ドロシー・ザイドマン、マーク・ハイドリッヒ
職場のあるシカゴと恋人がいるニューヨーク。2つの都市を行き来する女性が抱える疎外感と孤立感が考察される実験的で闘争的な作品。国際映画祭などで上映され高い評価を得た。
国内劇場
初公開
エニバディズ・ウーマン Anybody’s Woman

エニバディズ・
ウーマン

Anybody’s Woman
原題:Anybody’s Woman/1981年/米国/カラー/24分/スタンダード/
日本語字幕:西山敦子(C.I.P.Books)
監督:ベット・ゴードン/出演:ナンシー・レイリー、スポルディング・グレイ、マーク・ハイドリッヒ、トム・ライト/ナレーション:カリン・ケイ
長編『ヴァラエティ』に先駆けて、ニューヨークのポルノ映画館「Variety」を舞台に作られた短編作品。タイトルは、サイレント期から活躍した女性映画監督ドロシー・アーズナーによる1930年製作の同名のハリウッド映画作品に由来する。
国内劇場
初公開

DIRECTOR

ベット・ゴードン BETTE GORDON
Photographer : Robin Holland

ベット・ゴードン

BETTE GORDON

1950年6月22日生まれ。ウィスコンシン大学マディソン校にて学士号、修士号、芸術修士号を取得。1970年代に実験映画の制作を開始。初期の作品はマイケル・スノウなどの映画作家による「構造映画」に触発されたもので、ジェームズ・ベニングと共同制作がなされた。1970年代末からニューヨークで活動。前衛映画の拠点であった「Collective for Living Cinema」で働きつつ、アンダーグラウンドで起こった音楽やアートのムーブメント「ノー・ウェイヴ」周辺で活動。セクシュアリティ、欲望、権力をテーマに大胆な探求と創作を行う。長編第一作『ヴァラエティ』(1983) は、カンヌ国際映画祭「監督週間」で上映された。いくつかの監督作品は、ホイットニー美術館、ポンピドゥー・センター、ベルギー王立映画アーカイブ、英国映画協会、MoMA、アンソロジー・フィルム・アーカイブスの常設コレクションに収蔵されており、米国のインディペンデント映画の先駆者として再評価が進んでいる。現在、コロンビア大学芸術学部映画学科で教鞭を取っている。

監督からの言葉

『ヴァラエティ』と二つの短編『エンプティ・スーツケース』『エニバディズ・ウーマン』を日本の皆さんにご覧頂けることは、とても特別で意義深いことです。私の映画制作の実践は、小津安二郎、黒澤明、溝口健二、大島渚といった日本の偉大な映画監督たちにも影響を受けてきました。また、現代の日本の若い映画作家の作品に感嘆しており、それらと私の映画的ビジョンを共有できることに興奮しています。

『ヴァラエティ』は、私のニューヨークに対する感性を映し出した作品です。それは、ザラザラしていて、爆発しそうで、何世代にも渡って映画監督たちが舞台にしてきたタイムズスクエアの眩いネオンの光と暗い通りに溢れています。

STAFF / CAST

  • キャシー・アッカー
    Kathy Acker

    ◇『ヴァラエティ』脚本
    1947年4月18日、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。「実験的小説家」「ポスト・パンク作家」「セックス・ポジティヴ・フェミニズム作家」など様々に呼称され、その作品、主に小説は世界中でカルト的な人気を得ている。著書(邦訳書)に『血みどろ贓物ハイスクール』(渡辺佐智江訳、河出文庫、2018)、『ドン・キホーテ』(渡辺佐智江訳、白水社、1994)、『アホダラ帝国』(山形浩生・久霧亜子訳、ペヨトル工房、1993)、『わが母 悪魔学』(渡辺佐智江訳、白水社、1996)などがある。1997年11月30日、死去。
  • トム・ディチロ
    Tom DiCillo

    ◇『ヴァラエティ』撮影
    1953年8月14日、アメリカ合衆国ノースカロライナ州生まれ。1970年代後半、ニューヨークに起こったインディペンデント映画のムーブメントに関わる。ジム・ジャームッシュ監督『パーマネント・バケーション』(1980)、同監督『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)、山本政志監督『ロビンソンの庭』(1987)などの撮影を担当。自身の監督作として『ジョニー・スエード』(1991)、『リアル・ブロンド』(1997)、『ドアーズ/まぼろしの世界』(2009)など。
  • ジョン・ルーリー
    John Lurie

    ◇『ヴァラエティ』音楽
    1952年12月14日、アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリス生まれ。1978年にギタリストのアート・リンゼイ、弟のエヴァン・ルーリーらとラウンジ・リザーズを結成。ジム・ジャームッシュ監督作品ほか映画音楽の作曲にも携わっている。俳優としてもジム・ジャームッシュ監督『パーマネント・ヴァケーション』(1980)、同『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)、同『ダウン・バイ・ロー』(1986)、ヴィム・ヴェンダース監督『パリ、テキサス』(1984)、デイヴィッド・リンチ監督『ワイルド・アット・ハート』(1990)などに出演。『ヴァラエティ』に提供した楽曲は、『ダウン・バイ・ロー』とのカップリングでレコードリリースされた。
  • サンディ・マクロード
    Sandy McLeod

    ◇『ヴァラエティ』出演「クリスティーン」役
    スタッフとして、俳優として、映画製作の様々な局面で活動。関わった作品にセオドロス・バファルコス監督『ロッカーズ』(1978)、ジョナサン・デミ監督『ストップ・メイキング・センス』(1984)、同『サムシング・ワイルド』(1986)、ポール・シュレイダー監督『ライト・スリーパー』(1991)など。監督作に『Asylum』(2003、短編ドキュメンタリー)、『Seeds of Time』(2013、ドキュメンタリー)がある。
  • ナン・ゴールディン
    Nan Goldin

    ◇『ヴァラエティ』出演「ナン」役・スチール撮影/『エンプティ・スーツケース』出演
    1953年9月12日、アメリカ合衆国ワシントンDC生まれ。写真家・アーティストであり、活動家。『ヴァラエティ』で撮影されたスチール写真は、写真集として2009年に刊行されている。彼女が被った薬害との闘いを捉えたドキュメンタリー映画、ローラ・ポイトラス監督『美と殺戮のすべて』(2022)には製作にも携わり、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した。
  • ウィル・パットン
    Will Patton

    ◇『ヴァラエティ』出演「マーク」役
    1954年6月14日、アメリカ合衆国サウスカロライナ州チャールストン生まれ。ノースカロライナ芸術学校とアクターズ・スタジオで学び、俳優として活動を始める。映画の出演作品に、マーティン・スコセッシ監督『アフター・アワーズ』(1985)、ケヴィン・コスナー監督『ポストマン』(1997)、マイケル・ベイ監督『アルマゲドン』(1998)、マーク・ペリントン監督『プロフェシー』(2002)、ケリー・ライカート監督『ウェンディ&ルーシー』(2008)、同『ミークス・カットオフ』(2010)、リー・アイザック・チョン監督『ミナリ』(2020)などがある。
  • クッキー・ミューラー
    Cookie Mueller

    ◇『ヴァラエティ』出演 バーにいる女たちの一人
    1949年3月2日、アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア生まれ。ジョン・ウォターズ監督作品の常連スタッフとキャストで構成される「Dreamlanders」のメンバの一人。出演したウォーターズ作品に『マルチプル・マニアックス』(1970)、『ピンク・フラミンゴ』(1972)、『フィメール・トラブル』(1974)、『デスペレート・リビング』(1977)、『ポリエステル』(1981)がある。他、出演作にスーザン・シーデルマン監督『スミサリーンズ』(1982)など。作家、ジャーナリストとしても活動した。1989年11月10日、死去。
  • ルイス・ガスマン
    Luis Guzmán

    ◇『ヴァラエティ』出演「ホセ」役
    1956年8月28日、プエルトリコ生まれ。1970年代後半から映画に出演。出演作にリドリー・スコット監督『ブラック・レイン』(1989)、ブライアン・デ・パルマ監督『カリートの道』(1993)、ポール・トーマス・アンダーソン監督『ブギーナイツ』(1997)、同『パンチドランク・ラブ』(2002)、スティーヴン・ソダーバーグ監督『トラフィック』(2000)、トニー・スコット監督『サブウエイ123 激突』(2009)など。
  • ヴィヴィアン・ディック
    Vivienne Dick

    ◇『エンプティ・スーツケース』出演
    1950年、アイルランド・ドニゴール県生まれ。ベット・ゴードン同様、ニューヨークで起こったアートのムーブメント「ノー・ウェイヴ」周辺で映画作家として活動。『Guerillere Talks』『She Had Her Gun All Ready』(1978)、『Beauty Becomes the Beast』(1979)などの作品を制作。2020年に、1970年代後半のニューヨークでの生活を巡るドキュメンタリー作品『New York Our Time』を発表した。
  • リン・ティルマン
    Lynne Tillman

    ◇『エンプティ・スーツケース』声の出演
    1947年生まれ。作家、批評家。著書(邦訳書)に、三人の女性の物語で1987年に刊行された小説『憑かれた女たち』(杉浦悦子訳、白水社、1994)、ニューヨークの伝説的な書店「ブックス・アンド・カンパニー」を巡るノンフィクション『ブックストア―ニューヨークで最も愛された書店』(宮家あゆみ訳、晶文社、2003)がある。現在、ニューヨーク州立大学オルバニー校で教鞭をとっている。
  • スポルディング・グレイ
    Spalding Gray

    ◇『ヴァラエティ』声の出演「卑猥な留守番電話の声」/『エニバディズ・ウーマン』出演
    1941年6月5日、アメリカ合衆国ロードアイランド州プロビデンス生まれ。1960年代後半にニューヨークで演劇活動を開始。モノローグによるパフォーマンスを行い、自身の体験に基づく作品『Swimming to Cambodia』は1987年にジョナサン・デミ監督によって映画化された。出演した映画作品にローランド・ジョフィ監督『キリング・フィールド』(1984)、デヴィッド・バーン監督『デヴィッド・バーンのトゥルー・ストーリー』(1986)、 脚本を担当し、主演したスティーヴン・ソダーバーグ監督『グレイズ・アナトミー』(2001)、ジェームズ・マンゴールド監督『ニューヨークの恋人』(2001)などがある。2004年1月11日、死去。

REVIEW

ポルノ、空想、そして都市
― ベット・ゴードンによる
1983年の映画作品を再見する(抄訳)
エリカ・バルサム Erika Balsom
(キングス・カレッジ・ロンドン准教授/映画研究)

『ヴァラエティ』はゴードンの長編デビュー作であり、哲学者/美学者のノエル・キャロルが 「ニュー・トーキー」と呼んだ潮流にも含まれる一連の優れた実験的短編作品の後に作られた(「ニュー・トーキー」とは主に女性によって作られた映画作品。それまで前衛芸術を支配していた形式主義を打ち破り、物語、記号論、主観性を取り入れた。)。ゴードンのスーパー8mmフィルムによる作品『エニバディズ・ウーマン』(1981)は、1930年のドロシー・アーズナーの同名の傑作に因んで名づけられた。20分強のこの作品は、『ヴァラエティ』のためのスケッチとなっており、ほぼ全ての構成要素が揃っている。それは都市のエロティシズム、女性の好奇心に満ちた眼差し、性的に露骨なモノローグ、1970年代のポルノを支配する論理が古典的なハリウッド作品のそれとそれほど変わらないという挑発、などである。

『エニバディズ・ウーマン』に欠けているのは、統合的なストーリーだ。それがキャシー・アッカーの脚本を得て『ヴァラエティ』になった時、この作品は十分に伝統的な物語映画の体を成している。これを主流に食い込もうとする試みと見るのはそれほど的外れではないかもしれないが、この視点だと『ヴァラエティ』には物足りなさがある。1985年の「ニューヨーク・タイムズ」紙の批評はそれを示している。ジャネット・マスリンは、『ヴァラエティ』は 「ひどく不十分な脚本…そして静的で遠慮がちな演出スタイル」に苦しんでいると評した。この作品は、ブレヒト的な技法に触発された前衛芸術の伝統から生まれたものとして捉えた方がよい。ブレヒトの技法は、静的な演技と省略的な筋書きによって、ハリウッドの過剰な幻影を打ち破る手段として注目された。『ヴァラエティ』にとって、メジャー映画スタジオの慣習は憧れるものではなく、改ざんして解体すべきものなのだ。

作品全体を通して、背景で展開される別の物語の気配が潜んでいる。それはルイとマークが主役となる金と汚職の物語だ。クリスティーンが垣間見るこの世界は、スクリーンで見る性的空想に似た、ほとんど幻覚のような性質を帯びている。男たちが握手を交わし、取引を成立させるというミステリーは、通常物語の中心となるが、ここではそれは脇に退いている。一方で、街の風景やダウンタウンの有名人であるナン・ゴールディンやクッキー・ミューラーらが演じる女性たちがセックスや仕事について語り合うシーンに、たっぷりとスペースが取られている。この自然主義は、高度な技巧へ逃げることに相反する。特に、クリスティーンが困惑したマークに語る、ポルノ的なモノローグの数々がそうだ。性行為を言語行為に変えるという反スペクタクルによって、物語を凍結させる。この異質な言説の噴出は、この映画が持ち得たかもしれないあらゆるリアリズムの衝動を損ない、女性の欲望の率直な表現が支配的な表象の規範といかに同化不可能であるかを示している。

COMMENT(五十音順)

  • 制作クレジットに名を連ねているナン・ゴールディンやリジー・ボーデンは私も大好きなアーティストたちです。彼女らの作品に自伝的な要素があるように、ベット・ゴードンの映画も当時の社会が生々しく記録されているように感じました。
    ままならない状況で、自分が破滅にむかっているかもしれないと予感しつつも欲望のままつき進んでしまう様子が孤独で痛々しくも、映画のまなざしは優しく見守るように温かかったです。
    遠藤麻衣
    (俳優、美術家)
  • 「エンプティ・スーツケース」と「エニバディズ・ウーマン」を経て作られた「ヴァラエティ」は、思いもよらない方向へ突き進み、クリスティーンは社会や恋人に愛想を尽かしたかのように自由に勝手にトランスフォームを遂げてゆく。常識も正解も、この作品のなかではまるで無益なのがひたすら嬉しい。ざらついた質感でみる夢のearly80sニューヨーク。わたしも今すぐSIN CITY(悪徳の都)という名の口紅を手に入れないと。
    遠藤倫子
    (映画zine「ORGASM」発行人)
  • 男たちの幻想が渦巻くポルノの世界。ベット・ゴードンは大胆に「もう一つ別の物語」を女の眼差しと欲望で切り込む。女たちが棲息するイースト・ヴィレッジは刺激的で、予想外の好奇心と快楽、そして危険に満ちあふれている。そこはまさにポスト・アケルマンのニューヨークだ。
    斉藤綾子
    (映画研究者、明治学院大学文学部教授)
  • ポルノに囲まれているのに性が主題となって展開しない奇妙さ。ゴードンの映画は紗幕を通して危険な暴力世界に観客を誘う。その異化的な距離感と批判性はニュー・ジャーマン・シネマのようだ。
    渋谷哲也
    (ドイツ映画研究者、日本大学文理学部教授)
  • 三作品とも、ずっと語られてこなかった第二波、第三波フェミニズムのなだらかな繋がりを証言していた。わたしの憧れたNYを体現するアーティストたちの若かりし姿、表現の荒っぽさ、生々しさの記録にとんでもなく興奮した!
    長島有里枝
    (アーティスト)
  • 『ヴァラエティ』はさまざまに刺激的な言葉のパフォーマンスが繰り広げられる映画だ。その白眉はやはりクリスティーンの鬼気迫る妄想のポルノ語りだろう。そのモデルは、白けた観客に言葉で殴りかかるようなキャシー・アッカーの朗読姿だという。初めは辿々しく、一語一語をつかみとるような発話で紡がれる、欲望と好奇心の世界。呆気にとられていた私たちも気づけばその中にいる。放り出されるまで、決して逃れられない。
    西山敦子
    (字幕翻訳/C.I.P. BOOKS)
  • やさぐれてるけど暖かい色調で映し出される、今では失われてしまったニューヨーク。これはパティ・スミスとかキム・ゴードンとかデヴィッド・バーンの本で読んだやつ! パンク/ニューウェイヴ/ポストパンク好きなひと必見。
    野中モモ
    (翻訳者・ライター)
  • ヒッチコック的な取り澄ましたブロンド女性を、『タクシードライバー』にでも出てきそうなポルノ映画館のチケット売り場に座らせ、暗黒街とつながりのあるらしい胡散臭い紳士を尾行させる——この心躍る設定によって、『ヴァラエティ』のベット・ゴードンは男女間の視線の政治学を鮮やかに反転してみせた。その遊戯的な秩序転覆ぶりは、『勝手にしやがれ』で映画に開眼したというだけあって、ゴダールにも通じる挑発に充ちている。
    堀 潤之
    (映画研究者、関西大学文学部教授)
  • 『ヴァラエティ』——1980年代初頭、NY、女、という括りで言えば、アベル・フェラーラ『天使の復讐』に遭遇したとき以来の衝撃だった。制作から40年を超える時を経た今、日本でクリスティーンはどう語られるのか。
    渡辺佐智江
    (翻訳家)

THEATERS

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イベント情報

◆シネ・ヌーヴォ
12/8(日)
13:40『ヴァラエティ』上映後 ※ご鑑賞の方が参加可
ゲスト:五所純子さん(文筆家)、月永理絵さん(ライター・編集者)

2024年11月12日現在
地域 劇場 公開日
東京 シアター・イメージフォーラム 11月16日(土)~
神奈川 横浜シネマリン 近日公開
石川 シネモンド 近日公開
愛知 ナゴヤキネマ・ノイ 12/14(土)〜
京都 出町座 近日公開
大阪 シネ・ヌーヴォ 12月7日(土)〜
兵庫 元町映画館 近日公開
広島 横川シネマ 近日公開
福岡 KBCシネマ 近日公開
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